国家資格のひとつである「歯科衛生士」。
歯科クリニックで働くなら、ぜひ取得したい資格といえます。実際、求人情報をみると歯科衛生士資格保持者の求人も多いだけに、今から挑戦するのもおすすめです。
そこで気になるのが「歯科衛生士の資格ってどんな勉強するの?」「学校に通う場合、どれくらい学費がかかるんだろう?」「資格取得までにかかる期間は?」などです。
今回は、これから歯科衛生を目指してみたいとお考えの方向けに、資格取得にかかる費用と学習時間、難易度などをご紹介いたします。
■歯科衛生士になるためには?
歯科衛生士の資格を取得するためには、高校卒業後に大学や短期大学、または専門学校で学んだのち、国家試験を受けて、合格後に取得することができます。
以前は2年で取得できましたが、2010年以降は3年制以上となりました。
ここでは、そのための専門的な勉強ができる学校と通学期間をご紹介します。
歯科衛生士になるための勉強ができる学校と通学期間
・大学……4年間
歯学部や医療福祉系学部を設置する大学で学ぶことができます。
大学で学ぶメリットとしては、他学部生も受講する共通教養科目も選択することができるのでさまざまな学生と交流できること、歯科系以外も幅広く学べる点が挙げられます。
・短期大学……3年間
歯学部や医療福祉系学部を設置する短期大学で学ぶことができます。
大学と同じように、他学部生と交流したり共通教養科目で幅広く学べたりといったメリットがあります。
・専門学校……3年間
専門学校には、歯科衛生士に必要な専門知識を効率的に学ぶことができます。
大学のようにさまざまな学問を学ぶというよりも、「歯科衛生士を目指したい」という確固とした目標がある人にとっては、無駄なく歯科衛生士になる最短ルートとなります。
各学校でかかる費用
歯科衛生士になるためには、大学や短期大学、または専門学校に進学する必要があることがわかったところで、費用についてもご紹介します。
・大学……入学金(10~30万円)+年間授業料(100万円前後+諸経費)
・短期大学……入学金(10~30万円)+年間授業料(100万円前後+諸経費)
・専門学校……入学金(10~20万円)+年間授業料(60~70万円前後+諸経費)
諸経費には、「実習費」「施設費」「教科書代」「実習衣」「制服」などが含まれます。
またこの他にかかる費用として、「郊外研修費」「研修旅行」などがある学校もあります。
学費は複数回に分けて納入する学校が多いです。具体的に知りたい時は、各学校のホームページで確認してみましょう。
大学?短大?専門学校?どれを選ぶ?
上記を見る限り、大学を選択するケースがもっとも学費が多くかかることがわかります。多少学費は高くても幅広くさまざまなことを学びたいというのであれば、大学や短大がおすすめです。一方、少しでも費用を抑えて最短で歯科衛生士になるのを目指すのであれば、専門学校を選択するのがベストといえます。
■歯科衛生士の国家試験、難易度は?
大学や専門学校で養成課程を終了後に受験する「歯科衛生士国家試験」。
国家試験である以上、どれくらいの難易度なのか気になる方も多いのでご紹介します。
歯科衛生士国家試験の難易度は?
歯科衛生士になるためには、大学・短大・専門学校で3年以上指定カリキュラムを修了し、卒業することで受験資格を得ることができます。
合格するための基準は、例年60%以上の正解が求められていますが、受験者の合格率は90%を超えるからも、学習内容をきちんと身につけて臨めば比較的合格しやすい試験だといえます。
【歯科衛生士国家試験合格率・過去10年間の合格率】
平成25年…97.1%
平成26年…95.9%
平成27年…96.0%
平成28年…93.3%
平成29年…96.1%
平成30年…96.2%
令和1年…94.3%
令和2年…93.3%
令和3年…95.6%
令和4年…93.0%
歯科衛生士の国家試験はいつ・どこで行われる?
歯科衛生士国家試験は、例年3月初旬の日曜日に実施されています。
試験地は、全国都道府県(北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県)にある大学等で行われています。
国家試験の試験科目は?
歯科衛生士国家試験の出題範囲は9科目と多岐に渡っています。
【試験科目】
- 人体(歯・口腔を除く。)の構造と機能
- 歯・口腔の構造と機能
- 疾病の成り立ち及び回復過程の促進
- 歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み
- 歯科衛生士概論
- 臨床歯科医学
- 歯科予防処置論
- 歯科保健指導論
- 歯科診療補助論
合格発表はいつ?
歯科衛生士国家試験の合格者は、例年3月末に一般財団法人歯科医療振興財団ホームページや厚生労働省ホームページの「資格・試験情報」ページで発表されます。
詳しい日時については、一般財団法人歯科医療振興財団や厚生労働省が発表する概要で確認してください。
■歯科衛生士になるために
歯科衛生士の専門課程は、授業内容をしっかりと理解することが重要です。実習などもある中、勉強が大変に感じる時もあるかもしれませんが、せっかく目指したからには「合格」という目標達成のためにもがんばりましょう。
国家試験の対策は「コツコツ」&「計画的に」
通学する学校の最終学年では、国家試験対策のための勉強が本格化してきます。学校で学んだ内容は国家試験でも満遍なく出題され、暗記すべき知識も非常に多いので、普段からコツコツと勉強をしていくことが大切です。
たとえば、1週間単位でスケジュールを立て、講義と実習、自宅での復習が効率よく回せるように計画をしていくのもおすすめです。
国家試験勉強のポイント
歯科衛生士国家試験は、前述した通り出題範囲が広く定められています。こう聞くと「受験勉強をどのように進めればいいかわからない」と思われるかもしれません。
しかし出題傾向がある程度予想しやすいため、一番の対策は「過去問が効果的」となるようです。
過去問を繰り返し解きながらもただ答えを覚えるだけでなく、学んだ知識をしっかりと理解するようにしていくことで、試験を突破する力がついていきます。
ちなみに、国家試験では類似問題は出る可能性はあるものの、全く同じ問題は出ることはありません。やはり、基礎的な理解をした上で応用問題にも確実に対応できるようにしておくことが合格する秘訣のようです。
現在、過去問対策が効率的にできるアプリも開発されているので、電車通学中や夜の就寝前のスキマ時間を使って知識の定着をはかるのもおすすめです。
【歯科衛生士国家試験アプリ】
・「1D DH国試」(Apple)
「1D DH国試 | 歯科衛生士国家試験アプリ」をApp Storeで (apple.com)
歯科衛生士 国家試験&就職情報【グッピー】(Apple/android)
歯科衛生士 国家試験&就職情報アプリ | 過去問を徹底対策【グッピー】 |グッピー新卒 (guppy.jp)
実習は「試験対策」として積極的に
歯科衛生士の国家試験は〈筆記による学科試験のみ〉です。とはいえ、学校で学ぶ実習も理解に大きく寄与してくれます。
たとえば、講義と問題演習で表面的な理解となっていた内容が、実技によって多くの症例に触れることでようやく理解できたと実感することも多いようです。
国家試験は机上の勉強中心にはなりがちですが、日々の実習も積極的に臨むことで国家試験対策にもなり得るのです。
■まとめ
今回は、歯科衛生士の資格取得にかかる費用と学習時間、そして国家試験の難易度などをご紹介しました。
「予防医療」にスポットが当たるようになって以降、歯科クリニックにおいても予防歯科診療を行う歯科クリニックが増えてきたことで、今後ますます歯科衛生士の求人が増える可能性があります。
また、なんといっても歯科衛生士は国家資格でもあるので、一度取得すれば生涯使える資格であるのも魅力です。これから取得を検討している方は、ぜひ目指してはいかがでしょうか。