将来は歯科系の道に進みたいと思ったり、歯科衛生士として働いてみたいと考えたりする上で知っておきたいのが、「歯科衛生士の年収や待遇、働きやすさ」などです。
目指すからには給料や待遇面などは必ず確認しておきたいと思う方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、歯科衛生士の年収と待遇、働きやすさなどについてご紹介いたします。
平均的な年収ベースや待遇面、将来性を知ることで、これから本格的に目指すことも視野に入れたくなるかもしれません。そんな皆様の参考になれば幸いです。
■歯科衛生士の年収は?初任給や平均月給も
歯科衛生士は、専門性が高く安定した仕事として人気の高い仕事です。やりがいもあり、自分のライフプランにも合わせやすいといわれるだけに、年収も気になることでしょう。ここでは歯科衛生士の平均的な年収などをご紹介します。
初任給は学歴・勤務先によっても変わる
初任給の平均的な金額は16~19万円です。この金額の差は最終学歴(歯科系の大学・短大・専門学校)や勤め先の歯科クリニックによっても変わってきます。
そのため、最初は「初任給が少ないな」と感じる方もいるかもしれませんが、実際は経験を積み上げるとともにスキルアップを果たしていくことで年収ベースも上がるので、この点は他の多くの職種と同じだといえます。
歯科衛生士全体の「平均月給は約26万円」。地域差もあり
それでは全国の歯科衛生士の平均月給はいくら位なのでしょうか?勤め先の診療内容や地域、経験年数などによっても変わりますが、平均では約26万円のようです。
前述した通り、この数字は条件の異なる全ての歯科衛生士の皆さんの平均額のため目安程度となりますが、こうしてみると他業種よりもやや高いベースでもらえていることがおわかりいただけると思います。
しかも、基本的にクリニック勤めのため転勤はなく、全国を行ったり来たりすることがないので、今いる居住地で安定して働ける点も大きな魅力に感じる方もいるでしょう。
歯科衛生士の全国平均年収は「約369万円」
歯科衛生士の年収の全国平均は約369万円です。このほか、勤め先によっては時間外労働で残業代がつくこともあるので、さらに年収が上がることも十分考えられます。
また、歯科衛生士の年齢別平均給料を見ると、勤務を始める20~24歳では316万6,500円ですが、そこからスキルを磨きながら経験を積んでいくことで5年単位では数十万円ずつ上昇していき、30~34歳で365万2,600円、40~44歳で373万6,400円となっています。さらに45~49歳で390万3,000円と上昇のピークを迎えた後は、50~54歳で386万8,600円とゆるやかになっていきます。
■歯科衛生士の待遇は?
次は待遇面についてご紹介します。
厚生労働省によると、歯科衛生士の平均労働時間は169時間/月、そして平均残業時間は7時間/月と発表されています。この数字は1日8時間勤務、週休2日制の勤務形態として平均的なものとなっています。
また、平均残業時間も決して多くないことから、ライフバランスが取りやすい環境だと推測されます。さらに多くの歯科クリニックでは社会保険が完備されているほか、交通費も支給されるところが多いようです。このほかにある福利厚生として以下があります。
【さまざまな福利厚生】
- 産休育休制度
- 退職金制度
- 健康診断補助
- インフルエンザワクチン補助
- 産休育休復帰手当
- 勤続手当
(※ここに記載されている福利厚生は全ての医療機関で設定しているわけではありません。詳細は各歯科クリニックによります。)
もちろん時短勤務の方もいるので一概にはいえないものの、数字や福利厚生を見る限りでは労働環境としては一般的な水準だといえそうです。
■歯科衛生士の働きやすさは?
歯科衛生士は女性のなり手が多いだけに、ワークライフバランスも気になる方も多いはずです。そこで、歯科衛生士の実際の働きやすさについてご紹介します。
時短勤務で家庭や趣味などとの両立派も多い
歯科衛生士として働く場合、フルタイム勤務以外の働き方のひとつである「時短勤務」もしやすく、週3~4日勤務でプライベートを充実させている方も多数います。
その理由もさまざまで、たとえば「子どもがまだ小さいうちは家にいる時間も確保しつつ働きたい」「趣味特技に没頭する時間もきちんと取りたい」など、女性ならではの理由が挙げられていますが、こうした要望が通りやすいのも歯科系のメリットといえます。
歯科衛生士は転職しやすい
歯科衛生士の強みは、なんといっても「国家資格」であることです。スキルと経験があれば転職するのも決して難しくはありません。仮に職場でうまくいかなかったとしても、自分に合う職場を新たに見つけやすいという点は大きなメリットです。
結婚・出産・育児とライフステージの変化に伴い離職してしまう女性も多い中、歯科衛生士の資格があれば社会復帰もしやすいので、再び働きたくなった時に社会復帰しやすいでしょう。
歯科クリニック以外の働く選択肢もあり
歯科衛生士の就職先の約90%は歯科クリニックですが、これだけではありません。たとえば、一般歯科では取り扱えないような難しい症例を扱う専門がある病院で働くケースもあれば、保健所、高齢者施設、医療機器メーカーなどもあります。
自分の希望する場所や働き方に合わせて就職先が選べるのも、歯科衛生士のメリットです。
■キャリアアップも叶いやすい歯科衛生士
歯科衛生士に合格後、スキルと経験を積んだ上で「更なる専門へ進みたい」「昇給したい」と思ったら、「認定歯科衛生士」などを取得するのもひとつです。
結婚や出産などで一時的に中断したとしても、その後再び復帰して将来のキャリアアップを目指すことはできます。
【キャリアアップが叶う資格5種】
- 日本歯周病学会認定歯科衛生士
歯周病に関する知識や的確な処置など、患者様の口腔の健康を守るための内容を専門的に学びます。取得要件として「歯周病臨床に5年以上経験」が必要とされ、難易度も高いことで知られています。
- 日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士
口腔ケアに関する治療のケアとメンテナンスなどの専門的な知識を学びます。資格取得後は、口腔インプラントの治療ケアに携わることもできます。専門性も高く、難易度は高い資格です。
- 臨床歯科麻酔認定歯科衛生士
歯科衛生士によって麻酔を使用するための必要な知識や技術を学ぶことで、患者様の安全を守るために必要な資格です。取得要件は「歯科衛生士の取得後、2年を経過していること」で、本資格取得後に一定の条件を満たせば、将来的には歯科医の補助で麻酔を行うこともできます。
- 日本小児歯科学会認定歯科衛生士
小児歯科に関する知識と技能を学ぶ資格です。取得要件は「歯周治療を3年以上経験」していることです。将来、小児歯科で働くことを目指したいなら取得したい資格のひとつです。
- 日本成人矯正歯科学会認定矯正歯科衛生士
歯列矯正に関する知識や技能などを認定する資格で、「1級」と「2級」があります。取得要件は「3年以上矯正の歯科院で働いていること」のほか、いくつかの条件があります。歯列矯正を診療科目にしている歯科クリニックで働きたい方におすすめの資格です。
■まとめ
今回は歯科衛生士の年収と待遇、働きやすさなどについてご紹介しました。
現在、歯科衛生士の求人倍率は20倍ともいわれ、完全に売り手市場となっています。
さまざまな要因はありますが、中でも日本の少子高齢化によるものが大きくなってきています。高齢社会における歯科の役割も増えるとともに、歯科クリニックに診療に行けない高齢者のための訪問歯科治療の需要も高まっていることが挙げられます。
さらに、歯周病や生活習慣病などの予防として適切な口腔ケアの必要性も周知されるようにもなっていることから、今後ますます歯科衛生士の活躍するシーンは広がっていくことでしょう。