いざ歯科衛生士として就職活動を始めてみると、「予想以上に求人数が多くて絞れない」「どんな歯科クリニックがいいのかわからない」という声をよく聞きます。
特に歯科衛生士として始めて働く予定の方にとっては、どのような観点で就職先を探すべきかわからないままではぴったりの就職先を見つけるのも時間がかかることでしょう。
そこで今回は、歯科衛生士として働くにあたっての「良い歯科クリニック」の特長と探し方をご紹介いたします。さらに面接時の対策もあわせてご紹介しているので、ぜひ活用してください。
■「良い歯科クリニック」とは?
まずは「良い歯科クリニック」とはどんなクリニックかを、多くの歯科衛生士の先輩たちの〈生の声〉をもとにご紹介したいと思います。
1.クリニック内の人間関係が良好である
あらゆる職場で人間関係は重要ですが、特に歯科衛生士が働く歯科クリニックは限られたスペースの中で歯科医や歯科助手と協力しなくてはならないため、人間関係の重要性が高い職場といえます。
「院長の歯科医とどうしても相性が合わない」「ベテランスタッフが口うるさい」「同僚同士ギスギスしている」など、このような環境では落ち着いて働くことは誰にとっても難しいことでしょう。逆に人間関係が良好なクリニックには以下のような特長があります。
- スタッフ同士のコミュニケーションが活発
- 挨拶を交わす雰囲気が定着している
- 困った時にすぐに相談できる
- 仲は良いが、馴れ合わずに程よい緊張感がある
2.労働環境が整っている
どのような場所で働くにせよ、労働環境が整ってこそ安心して仕事に集中することができるものです。歯科クリニックの労働環境がどのようになっているかは、求人情報で確認するほか、面接で質問してみるのもひとつです。
また、雇用契約書にどのような記載があるかも自分の目で確認するようにしましょう。
特に「勤務時間」「休日」「有給休暇」「社会保険」「産休・育休制度の有無」などの重要な項目は要確認です。
3.年収が基準以上
労働の対価として、適正な給料をもらえるかどうかも非常に重要です。不当に安すぎる歯科クリニックや逆に大幅に高額な歯科クリニックは、どちらも人材が長続きしない可能性が高いといえます。実際、歯科衛生士として自立して生活するために必要な給料をしっかりともらえる歯科クリニックは、スタッフの定着率も高い傾向が見られます。
4.スタッフ教育が熱心
歯科衛生士という資格は、働きながらキャリアアップが叶う職業です。生涯に渡って向上心を持ち続けながら働き続けることも決して夢ではありません。
たとえば、認定医などの専門性の高い資格をもつ専門医が在籍している歯科クリニックは院内研修も開催していることも多いほか、スタッフがスキルアップするたびに資格手当を支給してくれるところもあります。
また、セミナー費用や学会などの費用も負担し、積極的に歯科衛生士としての専門性を磨かせてくれるようなところもあります。
このような好環境で自分の専門性を高められる歯科クリニックは、やはりスタッフからの信頼も厚いでしょう。
5.治療に対する理念が明確である
歯科クリニックごとに掲げられている理念はさまざまあります。その中で、公式ホームページや面接などで聞いた話に自分自身が共感できるかどうかという観点も重要です。
その歯科クリニックで大切にしていることと、自分の歯科衛生士として働く方向性が合致しているところであれば、働きがいも感じることができるでしょう。
6.院内が明るく清潔感がある
当たり前のことになりますが、医療を施す場所である以上、プロ目線から見ても清潔であること、院内感染対策をしっかりと行っていることは非常に重要な要素となります。
また、実際に面接に行った際に院内を見る機会もあります。待合室や治療スペースが整理整頓されているか、掃除は行き届いているか、スタッフや歯科医師が着用する医療用白衣に清潔感があるかなどの観点から観察してみるのもおすすめです。
歯科衛生士の先輩たちの考える「良いクリニック」の特長は、どれも頷けるものばかりだったのではないでしょうか?
次は避けた方が良いクリニックの特徴をご紹介します。
■「こんな職場だと思わなかった」避けた方が良いクリニックとは?
求人情報を見るだけでは、本当の職場の人間関係や労働環境まではなかなかわからないものですが、ある程度は見抜くことも可能です。
たとえば、以下のような条件が当てはまる職場は警戒した方がいいでしょう。
- 給料が相場よりも高すぎるクリニック
一概にはいえないものの、考えられるのが「仕事量が多くハード」「患者数を多くこなすために質が低下した診療を行っている」「自費診療への誘導がノルマになっている」などです。
一般的には、歯科衛生士の給料は地域差もありますが平均的な額のところが多く、相場よりも不自然に高い場合は「それなりの事情」がある可能性があります。
すぐに飛びつかずに職場の実際の雰囲気や待遇などについてもきちんと確認した方がいいでしょう。
- 常に求人を出しているクリニック
度々求人を出しているクリニックや長期間に渡って求人を出しているクリニックは、それだけ「辞める歯科衛生士も多い」可能性が高いことが考えられます。本来、良い職場であれば人材も長く働いているところが多いものです。「あ、このクリニック、前にも求人広告で見たことがあるかも」と思ったら避けた方が無難かもしれません。
- 面接が丁寧ではないクリニック
求人情報を見て面接まで進んだものの、担当者から誠実さを感じなかったり、真剣に面接してもらえていないと感じたり、クリニックの雰囲気もあまり良くなかったりなど、なんらかの違和感を覚えた場合は慎重になった方が良いでしょう。
実際、クリニックによってはスタッフの定着率が悪く、大量の面接を行っているが故におざなりになっている場合もあります。「とにかく歯科衛生士なら誰でもいい」というスタンスのクリニックは長く働くことが難しいかもしれません。
このように、求人情報の裏にある背景も念頭に置きつつ、自分にとって一番働きやすいと思える職場を見つけていきましょう。
■良い歯科クリニックの探し方
良い歯科クリニックがどのようなところかある程度イメージできたところで、ここからは就職先の探し方についてご紹介します。
1.就職先を探す
「歯科衛生士 求人」と検索すると、多くの就職・転職サイトが見つかります。その中から選んでいくことになります。
求人情報を見る時は、最初に自分の希望条件を入力することになりますが、ここでは自分にとって優先順位の高い条件から入れていくようにしましょう。
少なすぎると多くの求人情報がヒットしてしまうため、そこから選ぶのに苦労しますが、反対にあまりに条件が多すぎてもヒットしない可能性もあります。
2.見学・面接に行く
求人情報の中からいくつか応募候補となる歯科クリニックが見つかったら、そこから検討し、最終的に3~5件までに絞ります。そして見学などの申込の連絡をしましょう。(※就職・転職サイトを通じて見学の申込ができます)
見学時では上記でもお伝えしたようなポイントを押さえつつ、しっかりと確認するようにします。
さらに実際に足を運ぶ良い機会なので、通勤時間や交通機関の状況、クリニック周辺の街の雰囲気も見ることも忘れずにしましょう。
■人気の高い歯科クリニックの内定をつかむ!面接対策
見学後に正式な面接に進む際、多くの場合はクリニックの院長、もしくは採用担当者と話すことになります。条件も良く人気の高い歯科クリニックは当然ですが倍率も高くなるはずです。
そこで、面接で好印象を持ってもらえるように心がけたい5つの対策をご紹介します。
【5つの重要な面接対策】
- 募集要項やクリニックHPをすみずみまで確認する
面接前は、募集要項やクリニックのHPをしっかりと確認しましょう。掲げる理念はもちろんのこと、力を入れている診療なども頭に入れてから臨みましょう。
- 履歴書(職務経歴書)を用意する
履歴書や職務経歴書などの必要な書類は事前に用意します。事実に相違がないかどうか、誤字や脱字がないかもきちんと確認しましょう。
- 清潔感を第一に面接に臨む
医療系の仕事は清潔感がなくてはいけません。面接に行く際は服装のみならず、髪の毛や爪、メイクなどもしっかりと整えます。邪魔になりそうな髪の毛は結ぶ・まとめるなどし、爪は短くきれいに整えます。メイクも濃すぎずに明るい印象をもたれるように仕上げましょう。
4.明るい挨拶を心がける
面接では第一印象が大事です。明るくさわやかな印象を与えられるように、自然な笑顔で挨拶をします。自信がない方は自宅の鏡で挨拶の練習をしてみましょう。
5.自己PRで伝える
面接は履歴書などをもとに進められていくのが一般的です。自分でまとめた内容が頭から完全に抜けた状態で面接時にあれこれとつっこまれて慌てないように、話したいことは予めまとめておくのがおすすめです。
最後に自分が職務においてどのようなことに寄与したいか、未来の展望も添えられるとより好印象を得られるでしょう。
■まとめ
今回は歯科衛生士として働くにあたっての「良い歯科クリニック」の特長と探し方をご紹介しました。しっかりと準備や対策、リサーチなどを行い、あなたにとって最適な職場を見つけてくださいね。