過蓋咬合(かがいこうごう)は、放置すると前歯や歯肉、顎関節などに負担がかかることがあるため、噛み合わせが深いと感じる場合は矯正歯科で確認することが大切です。ただし、深さだけで直ちに治療が必要と決まるわけではありません。歯の接触位置、歯肉への影響、顎の症状、歯並びの状態などを総合的に診断して判断します。
この記事では、ディープバイトとも呼ばれる過蓋咬合を放置した場合に考えられるリスクと、矯正治療を検討する目安を分かりやすく解説します。
過蓋咬合とは
過蓋咬合とは、奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯を深く覆っている噛み合わせです。英語では「ディープバイト」と呼ばれることがあります。
一般的には、上の前歯が下の前歯にある程度重なること自体は自然です。しかし、重なりが深すぎると、下の前歯が上の前歯の裏側の歯肉に当たったり、上の前歯が下の歯肉に強く当たったりする場合があります。また、前歯の見え方や口元の印象だけでなく、奥歯を含めた噛み合わせ全体に影響していることもあります。
自分で確認できるサイン
鏡を見ながら奥歯を噛み合わせたとき、下の前歯がほとんど見えない、または見えない場合は、噛み合わせが深い可能性があります。ただし、見た目だけでは正確な判断はできません。前歯がどこに当たっているか、骨格や歯の傾きに問題があるかは、歯科医院での検査が必要です。
過蓋咬合を放置すると歯に負担がかかることがあります
深い噛み合わせを放置すると、特定の前歯や奥歯に力が集中し、歯の摩耗・欠け・揺れにつながることがあります。
噛む力は本来、複数の歯でバランスよく受け止めることが望ましいと考えられます。過蓋咬合では、前歯の接触が強すぎたり、下の前歯が上の前歯の裏側に繰り返し当たったりすることで、一部の歯に負担が偏ることがあります。
歯がすり減る・欠ける
強い接触が続くと、歯の表面がすり減ったり、詰め物・被せ物が欠けたりすることがあります。歯ぎしりや食いしばりがある場合は、さらに負担が大きくなる可能性があります。
前歯への負担が増える
下の前歯が上の前歯の裏側に強く当たる状態では、前歯の歯根や歯を支える組織に負担がかかることがあります。歯が揺れる、噛むと違和感がある、前歯の先端が欠けやすいといった症状がある場合は、早めの確認が必要です。
歯肉を傷つける可能性があります
過蓋咬合では、下の前歯が上の前歯の内側にある歯肉へ当たり、傷や炎症の原因になることがあります。
特に噛み合わせが非常に深い場合、下の前歯の先端が上顎の歯肉に当たり込むことがあります。反対に、上の前歯が下顎前歯の周囲の歯肉に当たるケースもあります。慢性的な刺激が続くと、歯肉に赤み、腫れ、痛み、傷がみられることがあります。
歯肉が下がってきたように感じる、歯ブラシが当たると痛い、前歯の内側に傷ができるといった場合は、噛み合わせが関係している可能性があります。歯周病やブラッシングによる影響など、別の原因も考えられるため、自己判断せずに診察を受けましょう。
顎関節や筋肉に影響することがあります
過蓋咬合があるからといって顎関節症になるわけではありませんが、噛み合わせの状態によっては顎や筋肉への負担に関与することがあります。
顎関節症は、噛み合わせだけでなく、食いしばり、歯ぎしり、生活習慣、ストレス、顎関節の状態など複数の要因が関係すると考えられています。そのため、顎の痛みや音がある場合も、過蓋咬合だけを原因と断定することはできません。
一方で、深い噛み合わせによって下顎の動きが制限されたり、歯の接触バランスが乱れたりしている場合には、治療計画を立てる際に顎関節の状態も確認します。口を開けにくい、顎が痛い、口を開けると音がする、噛むと疲れるといった症状が続くときは、早めに歯科医師へ相談してください。
見た目や歯並びの変化につながることもあります
深い噛み合わせでは、前歯の見え方や口元の印象に影響することがあります。加齢や歯の摩耗、歯周組織の変化などにより、噛み合わせの状態が変化する場合もあります。
例えば、前歯がすり減ることで歯が短く見える、下の前歯が見えにくい、前歯の歯並びが重なってきたと感じることがあります。ただし、見た目の変化には歯の大きさ、骨格、口唇の状態なども関係するため、過蓋咬合のみが原因とは限りません。
過蓋咬合の矯正治療では何をする?
過蓋咬合の矯正治療では、前歯と奥歯の位置・傾き・噛み合わせを総合的に整え、上下の歯が適切に接触する状態を目指します。
治療方針は、歯の重なり方、顎の骨格、歯肉の状態、年齢、むし歯や歯周病の有無、顎関節の状態などによって異なります。歯を動かす矯正治療だけでなく、治療前にむし歯・歯周病への対応が必要となることもあります。
使用する矯正装置の例
症例に応じて、表側矯正、裏側矯正、上顎裏側・下顎表側矯正、マウスピース型矯正装置などが検討されます。どの装置が適しているかは、見た目の希望だけでなく、歯を動かす必要がある方向や量、噛み合わせの状態を踏まえて判断します。
マウスピース型矯正装置を希望する場合も、すべての過蓋咬合に同じように適用できるわけではありません。治療の可否や適した方法については、精密検査後に歯科医師と確認することが重要です。
治療後の保定も重要です
矯正治療で歯並びと噛み合わせを整えた後は、歯が元の位置へ戻ろうとする後戻りを抑えるため、保定装置を使用します。保定の必要性や使用方法は個人の状態によって異なるため、指示された通院や装置の使用を継続しましょう。
過蓋咬合で受診を考える目安
前歯が歯肉に当たる、歯が欠ける・すり減る、噛むと痛い、顎に症状がある場合は、矯正歯科またはかかりつけ歯科医院へ相談する目安です。
- 下の前歯が上の歯肉に当たって痛い、傷ができる
- 前歯の先端がすり減っている、欠けやすい
- 前歯で噛みにくい、噛むと違和感がある
- 顎が痛い、口が開けにくい、顎の音が気になる
- 歯並びや噛み合わせが以前より変化したように感じる
- 子どもの歯並びで、下の前歯がほとんど見えない
症状がなくても、深い噛み合わせが気になる場合は、一度診断を受けることで現在の状態と治療の必要性を確認できます。特に成長期のお子さんは、顎や歯の生え替わりの状況を踏まえて、経過観察が適している場合もあります。
大井町で過蓋咬合の矯正相談をご希望の方へ
医療法人社団 大井町矯正歯科は、大井町駅西口から徒歩4分の矯正歯科医院です。カウンセリング予約では、噛み合わせに関するお悩みやライフスタイルを伺ったうえで、治療の考え方をご説明します。
診断には、セファロや口腔内スキャナーなどを用い、歯並びだけでなく噛み合わせ全体を確認します。診療室はすべて完全個室です。表側矯正、裏側矯正、上顎裏側・下顎表側矯正、マウスピース型矯正装置などに対応しており、状態に応じた方法を検討します。
診療時間は10:30〜13:30、15:00〜19:00で、毎週水曜日は休診です。土曜日・日曜日・祝日も診療しています。過蓋咬合を含む噛み合わせのお悩みについては、まずはご相談ください。矯正に関する一般的な疑問は、よくある質問もあわせてご覧いただけます。
よくある質問
過蓋咬合は放置しても大丈夫ですか?
過蓋咬合があっても直ちに問題が起こるとは限りませんが、歯の摩耗、歯肉への接触、噛み合わせの負担などにつながることがあります。前歯が歯肉に当たる、歯が欠ける、噛みにくいなどの症状がある場合は、矯正歯科で確認することが大切です。
過蓋咬合は自分で治せますか?
過蓋咬合を自分で改善することはできません。市販の器具を使ったり、意図的に噛み方を変えたりすると、歯や顎に負担をかけるおそれがあります。治療の必要性や方法は、歯科医師による診断を受けて判断しましょう。
ディープバイトと過蓋咬合は同じですか?
ディープバイトは、一般に過蓋咬合を指す言葉です。上の前歯が下の前歯を深く覆う噛み合わせの状態を表します。実際の問題の程度は、歯の接触、歯肉、顎の骨格などを含めて診断します。
過蓋咬合の矯正にはマウスピース型矯正装置を使えますか?
過蓋咬合でもマウスピース型矯正装置を検討できる場合がありますが、適応は歯並び、噛み合わせの深さ、歯の移動量などによって異なります。装置の種類は精密検査後に、治療目標に応じて判断します。
子どもの深い噛み合わせはいつ相談すればよいですか?
下の前歯がほとんど見えない、前歯が歯肉に当たる、噛みにくそうにしている場合は、成長期であっても早めに矯正歯科へ相談しましょう。すぐに治療を始めるとは限りませんが、適切な開始時期や経過観察の必要性を確認できます。