矯正治療中に歯ぎしり・食いしばりがあっても、直ちに矯正治療ができなくなるとは限りません。ただし、強い力が続くと矯正装置の破損・脱離、歯や顎関節への負担、治療中の不快感につながることがあります。自己判断で装置の使用を中止したり、市販のマウスピースを併用したりせず、症状を矯正歯科医に伝えた上で対応を決めることが大切です。
歯ぎしりや食いしばりがある場合は、矯正治療を始める前だけでなく、治療中も噛み合わせや装置の状態を確認しながら進めます。
歯ぎしり・食いしばりとは
歯ぎしり・食いしばりは、必要以上に上下の歯を接触させたり、強く噛みしめたりする習慣です。これらは「ブラキシズム」と総称されます。
歯ぎしりは、睡眠中に歯をこすり合わせる動きとして気づかれることがあります。一方、食いしばりは、音を出さずに強く噛みしめるため、自覚しにくいことがあります。仕事中やスマートフォン操作中、運転中などに、無意識で上下の歯を接触させている方もいます。
ブラキシズムが続くと、歯のすり減りや欠け、詰め物・被せ物の破損、朝の顎のだるさ、こめかみ付近の疲れ、頭痛のような症状につながることがあります。ただし、こうした症状には別の原因が関係することもあるため、症状だけで原因を決めつけることはできません。
矯正治療中に歯ぎしり・食いしばりが気になる理由
矯正治療中は歯を動かすため、歯・歯周組織・矯正装置に普段とは異なる力がかかります。そこに強い歯ぎしりや食いしばりの力が加わると、装置の状態や噛み合わせの確認に影響する場合があります。
矯正治療では、歯を少しずつ適切な位置へ移動させ、上下の歯の接触関係も整えていきます。治療途中は噛み合わせが変化する時期があるため、「以前より噛みにくい」「特定の歯だけ先に当たる」と感じることがあります。こうした変化と歯ぎしり・食いしばりによる負担が重なると、歯や顎周りに違和感が出ることがあります。
なお、矯正治療を始めたことだけが歯ぎしり・食いしばりの原因とは限りません。睡眠、ストレス、生活習慣、噛み合わせの変化など、複数の要素が関係することがあります。
歯ぎしり・食いしばりが矯正装置に与える影響
ワイヤー矯正の場合
ブラケットやワイヤーを使う矯正では、強い噛む力により装置が外れたり、ワイヤーが変形したりすることがあります。ブラケットが外れたまま放置すると、予定していた歯の移動が進みにくくなったり、口の中に装置が当たったりする可能性があります。
装置が外れた、ワイヤーが飛び出して頬や舌に当たる、強い痛みがある場合は、無理に引っ張ったり切ったりせず、矯正歯科へ連絡してください。対応の目安は、当院サイトの「装置が外れたとき」の解説記事もご確認ください。
マウスピース型矯正装置の場合
マウスピース型矯正装置では、強い食いしばりによって装置に傷、亀裂、変形が生じることがあります。装置が浮く、ひびが入った、穴が開いた、以前よりフィットしないと感じる場合は、そのまま使い続けずに相談しましょう。
マウスピース型矯正装置は、決められた順番と装着時間で進めることが重要です。自己判断で次の装置へ進めたり、使用を中断したりすると、歯の動きと装置の適合に影響することがあります。
市販のマウスピースを自己判断で使わないことが大切です
矯正治療中に、歯ぎしり対策として市販のマウスピースを自己判断で使用することは避けてください。矯正治療中の歯並びや噛み合わせは変化しているため、現在の状態に合わないマウスピースを使うと、装置と干渉したり、歯の動きに影響したりするおそれがあります。
特にワイヤー矯正中は、ブラケットやワイヤーの上から使用できる装置かどうかを個別に判断する必要があります。マウスピース型矯正装置を使用中の方も、追加の装置が必要かどうかは治療計画によって異なります。
歯ぎしり対策として何らかの装置を検討している場合は、購入前に担当の矯正歯科医へ相談してください。
矯正歯科へ相談したい症状・状況
以下のような症状や変化がある場合は、次回の予約を待たずに矯正歯科へ連絡することをおすすめします。
- ブラケットや矯正装置が外れた、壊れた
- ワイヤーが飛び出し、頬・唇・舌に強く当たる
- マウスピース型矯正装置に亀裂、穴、変形がある
- 装置が明らかに浮く、以前より合わない
- 特定の歯だけが強く当たり、噛むと痛い
- 顎の痛み、口が開けにくい、顎関節の音が急に強くなった
- 朝の顎の疲れや歯の痛みが強く、日常生活に支障がある
- 歯の欠け、詰め物・被せ物の破損がある
歯の移動や噛み合わせの状態は、見た目だけでは判断できません。必要に応じて口腔内の状態や噛み合わせを確認し、装置の調整、使用方法の確認、他の歯科治療が必要かどうかを検討します。
矯正治療中にできる食いしばりへの対応
日中の歯の接触に気づく
安静にしているときは、上下の歯は通常、常に接触しているわけではありません。パソコン作業や家事、スマートフォン操作中などに歯を噛み合わせていることに気づいたら、唇は軽く閉じ、上下の歯を離すことを意識してみましょう。
「歯を離す」「力を抜く」などのメモを目につく場所に置くことも、無意識の食いしばりに気づくきっかけになります。
硬いものを無理に噛まない
装置に負担がかかりやすい治療中は、硬い食品や粘着性の高い食品の食べ方にも注意が必要です。歯ぎしり・食いしばりの力が強い方は、そこに食事中の強い力が加わると、装置の破損や脱離につながることがあります。
食事に関する注意点は、使用している矯正装置によって異なります。治療開始時に案内された内容を確認し、不明な点は相談しましょう。
睡眠や生活習慣を整える
歯ぎしり・食いしばりは、睡眠や心身の状態と関連することがあります。就寝前に強い緊張が続く、睡眠不足が続く、飲酒後に症状が気になるなどの傾向があれば、生活習慣を見直すことも一つの方法です。
ただし、生活習慣の改善だけで症状が変わらない場合もあります。顎の痛みや睡眠に関する気になる症状がある場合は、矯正歯科医に相談し、必要に応じて適切な医療機関への相談も検討します。
矯正治療前の精密検査で確認すること
歯ぎしり・食いしばりがある方は、矯正治療を始める前に、歯のすり減り、歯周組織、顎の状態、現在の噛み合わせを確認することが重要です。治療計画は、歯並びだけでなく、歯や顎にかかる負担も踏まえて考えます。
大井町矯正歯科では、セファロや口腔内スキャナーなどを用いた精密検査・診断に対応しています。歯ぎしりや食いしばりの自覚がある方、家族から就寝中の歯ぎしりを指摘された方、顎の違和感がある方は、カウンセリング時にお伝えください。精密検査については、当院サイトの「精密検査」の解説記事もご覧ください。
大井町で矯正治療と歯ぎしりの相談をご希望の方へ
大井町矯正歯科は、大井町駅西口から徒歩4分の矯正歯科医院です。治療方法や見た目の希望だけでなく、歯ぎしり・食いしばり、顎の違和感、過去に装置が外れやすかった経験なども含めてお伺いし、お口の状態に応じた診断と治療計画の検討を行います。
診療室はすべて完全個室です。矯正治療中の装置トラブルや噛み合わせに関する不安がある場合も、気になる変化を早めにご相談ください。
よくある質問
矯正治療中に歯ぎしりをしていても矯正は続けられますか?
歯ぎしりがあっても矯正治療を続けられる場合はありますが、症状の強さや装置・歯・顎への影響を確認する必要があります。装置の破損や顎の痛みがある場合は、早めに矯正歯科へ相談してください。
歯ぎしりで矯正装置が外れることはありますか?
強い歯ぎしりや食いしばりにより、ブラケットが外れたり、ワイヤーやマウスピース型矯正装置に負担がかかったりすることがあります。装置が外れた、破損した、変形した場合は自己判断で直さず、矯正歯科へ連絡しましょう。
矯正中に市販の歯ぎしり用マウスピースを使ってもよいですか?
矯正治療中に市販のマウスピースを自己判断で使用することは避けてください。歯並びや噛み合わせの変化、矯正装置との干渉により、治療に影響する可能性があるため、使用前に担当の矯正歯科医へ相談が必要です。
食いしばりで顎が痛いときは矯正歯科に相談すべきですか?
顎の痛み、口の開けにくさ、噛むときの痛み、顎関節の音の変化がある場合は、矯正歯科へ相談してください。矯正治療中の噛み合わせの変化や食いしばりによる負担などを確認し、必要な対応を検討します。
マウスピース型矯正装置にひびが入った場合はどうすればよいですか?
マウスピース型矯正装置にひび、穴、変形がある場合は、装置の状態を確認するため矯正歯科へ連絡してください。自己判断で次の装置へ進んだり、使用を中止したりせず、担当医の指示を受けることが大切です。