矯正治療では、歯を動かす過程で歯根吸収が起こり、歯根がわずかに短くなることがあります。多くの場合は画像検査で確認される軽度の変化ですが、まれに大きな歯根吸収が生じることもあります。治療前に歯や歯根、あごの骨の状態を確認し、治療中も必要に応じて経過を確認することが大切です。
歯根吸収は矯正治療に限らず、外傷、炎症、かみ合わせの負担などをきっかけに起こることがあります。矯正治療を検討する際は、リスクの一つとして正しく理解したうえで、検査や説明を受けて治療方針を決めましょう。
歯根吸収とは
歯根吸収とは、歯を支える根の部分の表面が少しずつ吸収され、歯根が短くなったり形が変化したりする状態です。矯正治療では、特に歯根の先端部分に変化がみられることがあります。
歯根は歯をあごの骨に支えられるために重要な部分です。軽度の歯根吸収であれば、日常生活で直ちに問題になるとは限りません。一方で、歯根が大きく短くなった場合には、将来的に歯を支える力へ影響する可能性があるため、状態に応じた慎重な判断が必要です。
一度短くなった歯根が元の長さに戻ることは基本的に期待できません。そのため、治療前からリスクを確認し、治療中に変化を見逃さないことが重要です。
矯正治療と歯根吸収の関係
歯列矯正では、装置を使って歯とその周囲の骨に力を加え、歯を少しずつ移動させます。この歯の移動に伴う組織の反応の一つとして、歯根吸収が起こることがあります。
ただし、「矯正をすると必ず歯根吸収が起こる」「歯根が大きく短くなる」とは言えません。歯の動かし方や治療期間だけでなく、治療前の歯根の形、歯の位置、かみ合わせ、過去の外傷歴など、複数の要素が関係すると考えられています。
矯正装置の種類だけで歯根吸収の有無や程度を一律に判断することはできません。表側矯正、裏側矯正、マウスピース型矯正装置のいずれでも、患者さんの歯や骨の状態に合わせた診断と治療管理が重要です。
歯根吸収の起こりやすさには個人差があります
歯根吸収の起こりやすさには個人差があり、治療開始前に程度を完全に予測することは難しい場合があります。そのため、事前検査でリスクを把握し、治療中の経過を確認することが大切です。
治療前から歯根が短い・形に特徴がある場合
もともと歯根が短い場合や、歯根の形に特徴がある場合には、矯正治療による変化についてより慎重な確認が必要になることがあります。画像検査で歯根の長さや形、周囲の骨の状態を確認します。
歯をぶつけた経験がある場合
転倒やスポーツなどで前歯を強くぶつけた経験がある場合、歯や歯根に過去の影響が残っていることがあります。自覚症状がなくても、カウンセリングや検査の際に伝えてください。
歯の移動量や治療中の状態
歯を大きく移動させる必要があるケースや、歯根に負担がかかりやすい動きが必要なケースでは、経過の確認をより慎重に行うことがあります。また、治療中の口腔衛生状態やかみ合わせの変化なども、総合的に確認します。
矯正治療前に行う検査の役割
歯根吸収のリスクを考えるうえで、治療前の精密検査は重要です。歯並びだけでなく、歯根、あごの骨、歯の位置、かみ合わせなどを確認し、治療計画を立てます。
大井町矯正歯科では、セファロや口腔内スキャナーなどを用いた診断に対応しています。セファロは、頭部とあごの骨格、歯の位置関係を分析するためのX線規格写真です。必要な検査内容は、患者さんのお口の状態や治療計画に応じて判断します。
すでに歯根吸収がある場合や、歯根の状態に注意が必要な場合でも、すべての方が矯正治療を受けられないわけではありません。見込まれる利益とリスク、治療の選択肢を確認したうえで、治療の可否や進め方を個別に検討します。
治療中はどのように歯根を確認する?
矯正治療中は、歯の動きやかみ合わせに加えて、必要に応じて画像検査を行い、歯根の状態を確認します。確認の頻度や方法は、治療内容、歯根の状態、治療中の変化によって異なります。
画像上で歯根吸収が疑われる場合や変化が確認された場合には、治療の力のかけ方、歯の動かし方、治療の進行などを見直すことがあります。状況によっては、一定期間歯を動かす処置を控える、治療目標を再検討する、治療を中断するといった判断が必要になることもあります。
治療中に歯の痛み、強い違和感、歯のぐらつきなどが気になる場合は、次回の予約を待たずに矯正歯科へ相談してください。これらの症状が直ちに歯根吸収を意味するわけではありませんが、状態を確認することが大切です。
歯根吸収のリスクを抑えるために患者さんができること
歯根吸収を完全に防ぐ方法はありませんが、治療を安全に進めるために患者さんが協力できることがあります。
- 治療前の検査やカウンセリングで、過去の外傷、治療歴、気になる症状を伝える
- 予約した診療日に受診し、治療中の経過確認を受ける
- 装置の使用方法や通院間隔について、歯科医師・スタッフの指示を守る
- 歯の痛み、ぐらつき、装置の不具合などがあれば早めに連絡する
- むし歯や歯周病を防ぐため、日々の歯みがきと定期的な口腔管理を続ける
特にマウスピース型矯正装置では、装着時間や交換時期が治療計画に関係します。自己判断で使用を中止したり、次の段階へ進めたりせず、不安があるときは相談しましょう。
矯正治療を始める前に確認したいこと
矯正治療には、歯根吸収のほかにも、痛み、むし歯・歯周病、歯肉退縮、後戻りなど、理解しておきたいリスクがあります。詳しくは、矯正治療に伴うリスクや副作用も確認しておきましょう。大切なのは、リスクを必要以上に怖がることではなく、ご自身の状態ではどのような点に注意が必要かを確認することです。
大井町矯正歯科は、大井町駅西口から徒歩4分の矯正歯科医院です。カウンセリングでは、歯並びのお悩みやライフスタイルを伺ったうえで、治療方法をご提案しています。歯根が短くなることが心配な方、過去に歯をぶつけたことがある方、治療前の検査内容を詳しく知りたい方は、事前にご相談ください。
矯正治療に関する一般的な疑問は、よくある質問もあわせてご覧ください。
よくある質問
矯正治療で歯根吸収は必ず起こりますか?
いいえ、矯正治療で歯根吸収が必ず起こるわけではありません。軽度の変化がみられることはありますが、起こりやすさや程度には個人差があり、治療前の歯根の状態や歯の動かし方など複数の要素が関係します。
歯根吸収で短くなった歯根は元に戻りますか?
歯根吸収によって短くなった歯根が、元の長さに戻ることは基本的に期待できません。そのため、矯正治療前の検査と、治療中に必要に応じて行う経過確認が重要です。
歯根吸収は矯正治療前に分かりますか?
治療前の画像検査で、すでに歯根が短い、歯根の形に特徴がある、過去の外傷による影響が疑われるといった点を確認できる場合があります。ただし、治療中にどの程度の変化が起こるかを完全に予測することは難しいため、経過確認も大切です。
治療中に歯根吸収が見つかったらどうなりますか?
歯根吸収が確認された場合は、状態に応じて歯の動かし方や治療の進め方を見直します。治療の力を調整する、一定期間歯を動かす処置を控える、治療目標や継続の可否を再検討するなど、個別の状態に応じた対応を検討します。
歯根が短いと矯正治療はできませんか?
歯根が短い場合でも、矯正治療が一律にできないわけではありません。歯根の長さや形、歯を支える骨の状態、歯並び、治療による利益とリスクを総合的に確認し、治療の可否や方法を個別に判断します。