咬筋の張りは、無意識の食いしばりや歯ぎしりによって起こることがあります。ただし、顎関節の不調、歯のかみ合わせ、歯や歯ぐきの炎症など、ほかの原因が関係することもあるため、「エラが張っているから食いしばり」と自己判断しないことが大切です。
頬から顎にかけての筋肉が硬い、朝に顎が疲れている、歯がしみる・欠ける、顎を動かすと痛みや音があるといった症状がある場合は、歯や顎関節を含めて歯科で確認しましょう。
咬筋の張りを感じやすい場面
咬筋の張りは、頬の奥からエラ付近にかけて重だるさ、硬さ、疲労感として現れることがあります。咬筋は、ものをかむときに働く代表的な筋肉です。奥歯を強くかみ合わせると、エラ付近に触れた手へ力が入る感覚が伝わります。
次のような場面で張りを意識する場合は、咬筋に継続的な負担がかかっている可能性があります。
- 朝起きたときに顎や頬が疲れている
- 硬いものを食べた後に、顎の周囲がだるい
- 仕事や勉強に集中しているとき、奥歯をかみしめていることがある
- 緊張したときに顎へ力が入りやすい
- 口を大きく開けにくい、顎を動かすと違和感がある
- 家族から寝ている間の歯ぎしりを指摘された
一時的に硬い食べ物を多くかんだ後などにも筋肉の疲労は起こり得ます。しかし、張りや痛みが続く場合、繰り返す場合、日常生活に支障がある場合は、原因を確認することが重要です。
咬筋の張りと食いしばりの関係
食いしばりでは、必要以上に咬筋が働き続けるため、筋肉の緊張や疲労につながることがあります。
本来、安静にしているときは上下の歯が常に接触しているわけではありません。しかし、ストレス、集中、姿勢、生活習慣などを背景に、日中に奥歯を接触させ続けたり、就寝中に強くかみしめたりすることがあります。これが食いしばりや歯ぎしりです。
食いしばりは自覚しにくいことが特徴です。特に睡眠中の歯ぎしりは本人が気付きにくく、朝の顎の疲れ、歯の摩耗、詰め物・被せ物の破損などをきっかけに気付くこともあります。
日中の食いしばりで起こりやすいこと
パソコン作業、運転、スマートフォンの操作、運動時など、集中している場面では無意識に歯をかみ合わせやすくなります。顎や肩の力を抜く意識を持つことは一つの対策になりますが、症状が続く場合は、歯や顎への影響が出ていないか診察で確認することが望まれます。
就寝中の歯ぎしりで起こりやすいこと
睡眠中は自分でかむ力を調整しにくいため、歯や顎へ大きな負担がかかることがあります。歯ぎしりには、歯を横にこする、強くかみしめる、歯を細かく接触させるなど複数のパターンがあります。音がしない食いしばりもあるため、歯ぎしりの音がないから問題がないとは限りません。
食いしばりで歯や顎関節に伴うことがある症状
食いしばりが続くと、咬筋の張りだけでなく、歯・歯周組織・顎関節に負担のサインが現れることがあります。
以下の症状があれば、食いしばりとの関連を含めて歯科で相談してください。
- 歯の先端が平らにすり減っている
- 歯がしみる、冷たいものがつらい
- 歯にひびが入った、欠けた、詰め物や被せ物が外れた
- 歯ぐきの際が削れたように見える
- 顎を動かすと痛い、口を開けにくい
- 口を開閉するときに顎関節から音がする
- こめかみ、頬、首まわりに疲労感がある
ただし、これらの症状はすべて食いしばりだけで説明できるものではありません。虫歯、歯周病、かみ合わせの問題、顎関節症など、ほかの原因が関係することもあります。痛みが強い、口が開きにくい、腫れがある、歯が大きく欠けたといった場合は、早めに歯科へ連絡しましょう。
エラの張りと歯ぎしりは同じ原因とは限りません
エラ付近が張って見える場合でも、骨格、脂肪や皮膚の状態、筋肉の発達、むくみなど、見た目に影響する要素はさまざまです。そのため、エラの張りだけから歯ぎしりや食いしばりの有無を判断することはできません。
一方で、食いしばりによって咬筋の緊張が続き、頬から顎にかけての張りや疲労感として自覚されることはあります。見た目の変化を主な目的にするのではなく、顎の疲れ、歯のすり減り、顎関節の症状など、口腔内に起きている問題がないかを確認することが大切です。
原因を自己判断しないために確認したいこと
咬筋の張りがあるときは、いつ・どこが・どのように困るのかを整理しておくと、歯科で相談しやすくなります。
受診前には、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 張りや痛みが始まった時期
- 朝、日中、食事中など、症状が出やすい時間帯
- 左右どちらかだけに症状があるか
- 口の開けにくさ、顎関節の音、頭痛の有無
- 歯が欠けた、しみる、詰め物が外れたなどの変化
- 家族から歯ぎしりを指摘されたことがあるか
- 日中に歯を接触させる癖に気付く場面があるか
市販のマウスピースを自己判断で使用することは、かみ合わせや症状によっては適さない場合があります。歯ぎしり・食いしばりへの対応は、歯の状態、顎関節の状態、かみ合わせ、症状の背景によって異なるため、歯科医師の診断を受けたうえで検討しましょう。
歯科の診察で確認するポイント
歯科では、咬筋の状態だけでなく、歯の摩耗、かみ合わせ、顎関節の動き、口腔内のトラブルを総合的に確認します。
診察では、症状の聞き取りに加え、歯のすり減りやひび、詰め物・被せ物の状態、歯ぐきへの負担、口の開けやすさ、顎関節の痛みや音などを確認します。必要に応じて、かみ合わせや歯並びとの関係についても検討します。
食いしばり・歯ぎしりへの対応には、生活習慣の見直し、歯や顎を保護する装置の検討、かみ合わせや矯正治療に関する評価などがあります。どの方法が適しているかは、症状や診断によって異なります。
ボツリヌストキシン治療を検討する場合
食いしばり・歯ぎしりに伴う咬筋の過度な緊張については、診察結果によってボツリヌストキシン治療が選択肢の一つとして検討されることがあります。これは歯科領域における食いしばり・歯ぎしりへの対応として行うものであり、すべての方に適する治療ではありません。
効果の現れ方や持続期間、副作用には個人差があります。また、食いしばりの背景には複数の要因が関係することがあるため、ボツリヌストキシン治療だけでなく、口腔内の状態や生活習慣を踏まえた対応を考えることが大切です。詳しくは、食いしばり・歯ぎしりのボツリヌストキシン治療に関する案内もあわせてご確認ください。
大井町で咬筋の張りや食いしばりを相談したい方へ
医療法人社団 大井町矯正歯科は、大井町駅西口から徒歩4分の矯正歯科医院です。食いしばりや歯ぎしりが気になる場合も、まずは現在の症状やお悩みを伺い、歯や顎の状態を確認したうえでご相談に対応します。
当院は完全個室の診療室を備え、カウンセリングを重視しています。小田麻衣子院長は日本矯正歯科学会認定医であり、日本ボツリヌス協会認定医です。顎の疲れや咬筋の緊張、歯ぎしり、かみ合わせについて気になることがあれば、ご自身の症状を詳しくお聞かせください。
よくある質問
咬筋が張る原因は食いしばりだけですか?
咬筋の張りは食いしばりや歯ぎしりで起こることがありますが、硬いものをかんだ後の筋肉疲労、顎関節の不調、歯や歯ぐきの問題などが関係する場合もあります。症状が続く場合は、自己判断せず歯科で確認しましょう。
食いしばりがあるとどのような症状が出ますか?
食いしばりでは、朝の顎の疲れ、頬やエラ付近の張り、歯のすり減り、知覚過敏、歯の欠け、詰め物・被せ物の破損、顎関節の痛みや口の開けにくさなどがみられることがあります。
エラが張っていると歯ぎしりをしていると判断できますか?
エラ付近の見た目には骨格や筋肉、脂肪、むくみなど複数の要素が関係するため、エラの張りだけで歯ぎしりや食いしばりの有無を判断することはできません。歯の摩耗や顎の症状も含めて確認することが大切です。
食いしばりでボツリヌストキシン治療は受けられますか?
食いしばりや歯ぎしりに伴う咬筋の緊張に対し、ボツリヌストキシン治療が選択肢となる場合があります。ただし、適応は症状や歯・顎関節の状態によって異なるため、診察を受けて判断する必要があります。
咬筋の張りは矯正歯科に相談できますか?
咬筋の張りと食いしばり、歯ぎしり、かみ合わせの関係が気になる場合は矯正歯科に相談できます。歯並びやかみ合わせだけでなく、歯のすり減りや顎関節の状態などを確認し、必要な対応を検討します。