「歯科医院で働きたい」「せっかく資格を持っているから活かしたい」と思ったら、まずは歯科クリニックに関する求人に関する情報探しから始めるのが一般的とされています。
でも、具体的に何から始めればいいのかわからなかったり、どんなクリニックを選べばいいのか決め手がわからなかったりしてお悩みをおもちの方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、歯科衛生士の資格をお持ちで、現在クリニックに就職を検討中の方向けに、歯科衛生士の求人の探し方をご紹介いたします。
それにあわせて、さまざまなサイトに掲載されている求人情報の中でも、特に「ココのチェックをしておくべき」という項目と理由についても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
■歯科衛生士の求人の探し方
お持ちの歯科衛生士の資格を生かすためには、就職先候補となるクリニック探しからです。
ご自身に合う働き場所を見つけられるようにしたいなら、まずは歯科衛生士の「就職先の正しい見つけ方」からチェックしていきましょう。
求人情報の最大シェアは「ハローワーク」
最初に思い浮かぶのは、ハローワーク(公共職業安定所)です。
厚生労働省が設置している行政機関であり、求人情報の検索だけでなく、窓口では職員に就職に関する相談をすることもできます。
また、全国に540ヶ所もあるので、自宅の近くで探すことができるという点もメリットです。求人数も多いので、選択肢をなるべく多く増やしたい方にはハローワークでの登録※1がおすすめです。
(※1……ハローワークを利用するためには、予め『求職申込手続き』が必要となります。)
一方、ハローワークは求人を出す側(クリニック)と求人を探す側(求職者)の双方が無料で利用できる分、提供される情報は最小限度の掲載が一般的です。「もっとこのクリニックについて知りたい」「実際の働きやすさはどうか」など、知りたいことがあるならクリニックで面接の際に質問してみましょう。
さらに、ハローワーク以外の歯科衛生士の求人は下記で探すこともできます。
【歯科衛生士の求人情報の公開先】
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歯科衛生士の求人は、民間企業が運営する求人サイトでも公開されています。
就職先を探す側にとってのわかりやすさが考慮されているため、自分の条件で検索しやすい点がメリットです。また、就職・転職に関する情報や幅広いノウハウなども公開されていることも多く、就職を成功させるための知識も得られます。
さらに、専門学校や大学構内で求人情報が公開されているところもあるほか、歯科クリニックが自院のホームページで「スタッフ募集」として歯科衛生士の求人を公開しているところもあります。
ハローワークに登録するだけでなく、より多くの有益な情報を得るためにできるだけ複数の求人情報公開先を日々チェックしましょう。
■求人情報「必ずチェックすべきポイント10選」
次はいよいよ「求人情報の見るべきポイント」についてです。
ハローワークや求人サイトなど複数の媒体を利用する際、特にどういうところを注目すべきか、こちらを読んで理解を深めてください。
- 歯科クリニック名・所在地・最寄り駅
自宅の最寄り駅からアクセスしやすい歯科クリニックを探す方が多いと思いますが、中には近県で引っ越しも想定して探している方もいます。いずれにしても、歯科クリニックの所在地と最寄り駅は必ず確認し、あわせて交通経路もチェックしておきたいところです。電車のみで通えるか、バスも併用するかなど、朝の混雑状況を鑑みながら通勤できる範囲で探すのがベストです。
- 診療科目
歯科クリニックではさまざまな診療が行われています。そんな中、「矯正歯科で働いてみたい」「子どもが好きだから、小児歯科がいいな」など、それぞれお持ちの希望があると思いますので、最初は自分の希望する診療を行っているクリニックをチェックしていきましょう。
【主な診療科目】
上記のほか、審美歯科、美容歯科、補綴科、保存科、歯周科、高齢者歯科、障害者歯科、歯科麻酔科、歯科放射線科、訪問歯科、口腔内科などの科を持つ歯科クリニックや大学病院(歯学部)があります。 |
- 勤務時間と診療時間
求人情報では、よく「診療時間」と「勤務時間」の2つが記載されています。
まずは下の表をご覧ください。
診療時間 | 勤務時間 |
9:00~12:00 | 8:15~12:15 |
15:00~18:00 | 14:30~18:30 |
とある歯科クリニックの例ですが、時間にズレがあるのがわかります。
医療機関は〈午前診療〉と〈午後診療〉を設けているところが多いので、それに合わせて勤務時間も設定されています。つまり、診療前後の時間も含めて勤務が生じるということになります。診療時間のみを見て、「この時間働くことになる」と誤解しないようにしましょう。
- 勤務形態
午前診療・午後診療を行うに際し、早番・遅番があるかどうか、また土曜日を含めてどのような勤務のシフトかなどは必ず確認しましょう。さらに最近は日曜日も診療日としている歯科クリニックもあります。(その分、平日が休診日となっている)
- 給与・手当・賞与
給与額を確認する際、試用期間の設定がされているかを確認しましょう。試用期間がある場合は、最初の数ヶ月間は記載されている給与額からいくらかマイナスでのスタートとなるケースがほとんどです。(最近では、試用期間中もそのままの給与額で求人をしているところも増えてきています)
また、「通勤手当」「資格手当」などの各種手当が加算されたり、賞与を設定されたりしているところもあります。
- 昇給制度の有無
職場によっては、定期的に昇給するシステムを取り入れるところもあれば、成果に応じた昇給が設定されているところもあります。昇給額については「給料額の○%」などと記載されていることがあるので確認しましょう。
ただし、昇給はあくまでも個人の努力と成果が認められた結果なので、求人情報に「定期昇給:1年1回」と記載されていても必ず昇給できるとは限りません。自分の勤務状況が認めてもらえるよう頑張ることももちろん大切です。
- 社会保険
「社会保険完備」と記載されていても、健康保険と厚生年金の両方に加入しているところもあれば、歯科医師国保や健康保険だけのところもあるため、詳細は面接で確認した方が良いでしょう。また、週20時間以上の求人には雇用保険と労災保険が記載されているはずですが、こちらも加入されているかを確認しておきましょう。
- 交通費
勤務する歯科クリニックまでの交通費が「全額支給」なのか、それとも「上限金額」なのかを確認しましょう。基本的には、通勤定期(6ヶ月)代に相当する金額が支給されることが多いですが、上限金額での支給の場合は支給額から出た差額は自分の給与から出すことになります。
- 給与日
歯科クリニックによっては「当月払い」のところと「翌月払い」のところがあるので、確認しておきましょう。特に、働き始めの最初の1ヶ月目に「当月払い」か「翌月払い」かは月々の家賃やカードの引き落としといった生活にも関わるため、必ずチェックしましょう。
- 休日・各種休暇
お盆休業・年末休業の期間は求人情報に記載されています。また、将来的に妊娠した場合に産休・育休が取れるのか、制度として「産休育休制度」が設けられているかも確認すると良いでしょう。
■求人情報だけではわからないこともある!?
どんな歯科クリニックに応募しようを決める際、上記でご紹介した求人情報から判断できることもある一方、これらだけではわからないこともあります。
例えば、以下のようなものがあります。
- 自由診療中心か、保険診療中心か
求人情報で確認できる「診療科目」だけでは、そのクリニックが具体的にどんな診療に力を入れているかまでは読み取れないこともあります。患者さんにどれくらいの時間をかけているか、治療内容のカウンセリングは誰が担当するか、補綴物は保険適用の金属か、または自由診療のセラミックも使用するかなど、各歯科クリニックによっても方針が異なっています。そこで、気になる歯科クリニックが見つかったら、求人情報だけでなくHPもあわせて確認してみるのもおすすめです。HPで治療方針を発信しているクリニックも多いので、そこで得られる情報も多いはずです。
- 業務内容が「外来担当」以外に渡ることも
「歯科衛生士」と一言でいっても、実際歯科クリニックで携わる業務は多岐に渡る場合があります。たとえば、診療科目に「訪問」を掲げている歯科クリニックの場合、歯科医とともに訪問歯科医療で診療を行うケースもあります。
当初はクリニックの外来対応だけだと思っていたら、月の半分は外に出ることになる業務内容だった、ということもありますので、どんな働き方をしたいかも含めて情報を集めると良いでしょう。
- 診療が長引く場合、残業代はつくか
午前診療・午後診療の最終アポの受付次第によっては、勤務時間を超えることもあり得ます。たとえば、最終アポを診療時間ギリギリまで取る歯科クリニックの場合、治療が終わるのが勤務時間終了後になることもあるので、午後診療に間に合うまでに休憩を取ることになります。こうした勤務形態で残業代がつくかは求人情報には記載されていないことが多いので、面接の際に確認すると良いでしょう。
■まとめ
今回は、歯科衛生士の求人の探し方として「求人情報で確認すべきポイント10選」をご紹介しました。
ただし、求人情報のみでは自分にとって本当に働きやすいかどうかを判断することは難しいのも事実です。そこでHPを確認してみたり面接で聞いてみたりなど、自分でも情報収集をしてみるのも良いでしょう。
あなたの資格が活かせる歯科クリニックが見つかることをお祈りしています。